ホラーゲームを「怖い」と思えなくなった人に、ヴィサージュを勧める理由

ゲーム

ホラーゲームで怖くなくなった、という話をよく聞く。バイオハザードは爽快感があるし、Dead by Daylightは対戦ゲームだし、いつの間にかホラーって怖さよりエンタメになってない?

ヴィサージュは違う。これは「楽しむ」ゲームじゃない。ゾクゾクに耐えるゲームだ。


ヴィサージュとは何か

2020年発売、カナダのインディースタジオ「SadSquare Studio」が作った一人称視点の心理ホラーゲームだ。PS5ではPS4版の後方互換で動く。

舞台は一軒の家。その家で過去に起きた複数の家族の悲劇を、主人公ドウェイン・アンダーソンとして追体験していく。マップは基本的にこの家の中だけ。閉じた空間で、ずっとこの家にいる。

発想の出発点はP.T.、コナミがかつて公開した「サイレントヒルズ」の試遊デモだ。あのループする廊下の恐怖を、一本のゲームとして完成させようとした作品といえば伝わるだろうか。「ここ10年で最高のサイレントヒルエミュレーター」とEurogamer Italyが評した。まあ、それくらい近い。

なお、ヴィサージュにパッケージ版は存在しない。PS4/PS5ならPlayStation Store、PCならSteamからダウンロード購入となる。Xbox One版も同様にデジタル販売のみだ。どのプラットフォームで遊ぶにしても、まずはストアで検索してみてほしい。

📌 参考:Wikipedia「Visage (video game)」


プレイ感──これは「怖い散歩」だ

戦闘はない。武器もない。できることは探索と、アイテムを使うことと、逃げることだけだ。

家の中を歩きながら手がかりを集め、各章の謎を解いていく。移動は遅い。走れるが長くは続かない。暗い場所にいると「正気度」が下がっていき、ゼロになるとゲームオーバーだ。ライターやロウソクで明かりを確保しながら、薄暗い廊下を一歩ずつ進む。

電球が突然消える。棚の上のものが動く。振り返ると何かがいる、気がする。音がする。方向はわかる。でも何かはわからない。

この「わからない恐怖」がヴィサージュの核心だ。ジャンプスケアもあるが、それより前の「来るかもしれない」という時間のほうが数倍しんどい。プレイヤーの中には、怖すぎて10分しか続けられなかったという人間がいる。1日10分を繰り返してクリアした人間もいる。そういうゲームだ。

難易度について──これは理不尽かゲームデザインか

はっきり言っておく。ヴィサージュは難しい。ただ、その難しさがちょっと特殊だ。

謎解きの答えが環境の中に隠れていて、ヒントがほとんどない。マップもない。家の構造は変化する。「次に何をすればいいか」がわからないまま、暗い家をうろうろする時間が長い。レビューを見ると「攻略サイトなしでは無理」という声が多く、「人工的な難易度」と批判する声もある。

一方で、「この難しさがあるから怖い」という見方もある。手がかりを掴めないまま暗闇を歩き続けることで、パニックと焦りが本物になる。ヒントがあればホラーとしての緊張感は薄れる。どちらが正しいかは正直わからないが、「怖さを体験するために難しさを受け入れる」覚悟があるかどうかで、このゲームの評価は完全に分かれる。

ムズイのがストレスになる人には向かないかもしれないが逆にこの難易度と緊迫感がどMの心には刺さるはず


怖さのレベル──数字で言えない怖さがある

ジャンプスケアの頻度は多くない。むしろ少ない。

怖さの種類は「じわじわ来る系」だ。何も起きていない廊下を歩いているだけで手に汗をかく、というタイプの恐怖。ドアを開ける前に一瞬手が止まる、あの感覚が10時間続く。

実際のレビューに「階段を降りるだけで不安になった」「1週間、夜中にトイレに行けなくなった」という声があった。大げさかもしれないが、それを書かせるだけの何かがこのゲームにはある。

ホラー映画を見慣れていて「最近は何も怖くない」と思っている人間ほど、このゲームで足元をすくわれる。それはわりと保証できる。

似た系統のゲームも2本、紹介しておく

Layers of Fear(2023、PS5)

同じく一人称視点の心理ホラーで、舞台は狂気に陥った画家の邸宅だ。「見ていない間に部屋が変わる」という仕掛けが中心で、ヴィサージュと同じくP.T.の系譜にある。こちらはUnreal Engine 5で作られていて、ビジュアルの完成度が高い。

ヴィサージュより謎解きの理不尽さは少なく、ストーリーをスムーズに追いやすい。「ホラーゲームの入門として雰囲気重視で遊びたい」ならこちらのほうが向いているかもしれない。ただ怖さの深さはヴィサージュのほうが上だ、というのが正直な評価だ。

警告:年齢確認が必要です

SILENT HILL 2 リメイク(2024、PS5)

同じくBloober Teamが開発したサイレントヒル2のリメイクで、PS5専用タイトルだ。霧の町「サイレントヒル」を舞台に、死んだはずの妻からの手紙を受け取った男が真実を追う話。原作は2001年で、心理ホラーの名作として今も語り継がれている。

こちらは戦闘あり、マップあり、ある程度の誘導もある。ヴィサージュより「ゲームとして遊びやすい」が、その分だけ恐怖が薄まるかというとそうでもない。モンスターのデザインと音響設計が別次元で、暗闇の中で変な音がしたとき、引き返したくなる感覚はサイレントヒル2も一流だ。

Amazon.co.jp: SILENT HILL 2(サイレントヒル2) : ゲーム
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結局、誰に向いているゲームか

「ホラーゲームで本気で怖い思いがしたい」「難しくてもいい、ただし怖さは本物が欲しい」という人間に向けて作られたゲームだ。アクションホラーが好きな人、わかりやすいストーリーを求める人、長時間プレイしたい人には向かない可能性が高い。

ヘッドフォンをして、部屋を暗くして、一人でやること。 これだけは守ってほしい。それをせずにこのゲームを語っても、半分しか体験していないと思う。

今すぐAmazonでヴィサージュを検索して、レビューのスクロールをやめて、カートに入れてみてほしい。悩んでいる時間が一番もったいない。

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